こっそり


幸せだという気持ちは僕個人の内奥にあるだけで
君の内奥がどうなっているのか、僕には知るべくもない。
ただ、僕は君に対し、怒りを覚えたことはない。
嫌悪感を持ったことはない。持てないだろう。
これから予測されることが起こったとしても。
静かに死んでいくことはいいことだ。
この極度に氾濫した社会にあっては、死は一点の沸騰に過ぎない。
そこで開放された質量21gの価値。
僕が君を愛しているといっても
君は真面目に受け止めないだろうから
僕は君を愛していると言うのを止め、
僕は君を褒めるのをやめ、
ただひっそりと君の近くにいることにする。