腹が立ったので。

遊び。
知らない人にシャドウランを説明する訓練。

シャドウランの世界

シャドウランは"サイバーパンク"という一昔前に流行ったジャンルをテーマにしている。

 ディストピア(地獄郷)像の一つ。しかし、現代に生きる我々はその像があまりにも現代に似通っているため、現実世界の一つのパロディとして受け取ることも多い。
 巨大企業が人間を管理し、金が人間を支配する超資本主義社会。コンピュータが人間のIDを管理し、生活を統制する管理社会。しかしながら、それを動かすのは人間の欲望であり、その人間の醜い闘争が裏切りに次ぐ裏切りを引き起こす。忠誠への裏切り。友情への裏切り。そして肉体への裏切り。
 万能への欲望は人間の体と機械の体を接合するサイバネティックス工学を発展させ、記憶を切り売りする。ネットワークから切り離されたスタンドアロンである肉体を売り歩き、機械に置き換える者たち。
 これを見てディストピアと感じる人はそういないだろう。なぜなら、1970年代にアメリカで生み出されたこのディストピア像、30年を過ぎた今では実現されかかっている。

 このような管理と裏切りの世界の住人達は、二つの生き方を迫られる。即ち、隷属か反逆か。往々にして主人公達は反逆を選択し、巨大な社会権力に踏み潰されていく。裏をかいて社会権力を出し抜いた者も、他者の欲望に敗れる。そして、終には自分の欲望に破れる。
 サイバーパンク世界の住人は、反逆を選択する限り、常に闘争を続ける。そしてこの世の中には様々な立場があり、いずれの立場もある立場に対する反逆に他ならない。

 シャドウランはシビアな金と裏切りの近未来SFに魔法という特性を持ち込んだ。近未来(そう、まさに今年、2007年の12月24日だ!!)に突如として魔法が世界に現れた・・・あるいは、「戻ってきた」という設定になっている。
 ドラゴンが戦闘機を落とす。ネイティブアメリカンが精霊と共に核保有国を黙らせて独立する。人々はゴブリン化して狂乱し、エルフやドワーフやオーク、様々なクリッターが突如として世界に戻ってくる。世界の秩序は完全に崩壊する。そして、それを企業が収拾する。
 "真"人と"亜"人の対立。"技"術と"魔"術の対立。肉体への信仰と機械への信仰の対立。そして文明と自然との対立。
 世界は対立と争いのるつぼに落ちた。金だけが全てとなった。銃声は止まらなくなる。
 この混乱を乗り切り世界の覇者となったのは・・・多国籍巨大企業だった。

    • 2050年以降の世界

 サイバネティックス工学により、人体の限界は超えられた。
 企業専属メイジは、"商売"のやり方を一変させた。
 あらゆるものが接続されたweb中心世界は、物理世界、精神世界に継ぐ第三の現実を作り上げた。
 それでも世界は微妙な均衡の元に動いていく。

 影の世界の調整役、ShadowRunnerが暗躍する限り。

shadowrunner:
 非合法活動に従事する工作員(多くフリーランス)。ていのいい傭兵。
 多くは荒事・・・物理世界の荒事、精神世界の荒事、電子世界の荒事・・・に長けた技術者を指す。
 彼らは企業からデータを盗み出して他の企業に売る。
 誘拐・脅迫・拉致・監禁。なんでもござれの犯罪者。
 神経をナノマシン管理する戦闘機械"サムライ"に、透過迷彩でデータを盗み出す"ニンジャ"。他人の精神を操り、その姿を変える"メイジ"に"シャーマン"。簡易コンソールで管理ツールのコントロールを奪うハッカー
 こうしたエース・チームは世の中を生き抜くため、金のためにbizをやる。そして、裏切りの渦の中で餌を食らう。




このゲームの初版発売当時は、まだソビエト連邦があったんですけどね。
携帯電話なんてなかった時代。