規範倫理学の解釈と視点と

 義務倫理学の弱点:義務倫理が有効に作用するのは、相手もまた義務に従っている場合のみである。もし義務に従わない相手が存在する場合は義務倫理そのものが成り立たない。
 故に、義務倫理を有効に作用させるためには、義務に違反した者への処罰が必要となる。問題は処罰が適正に行われるか否かにつながる。処罰が適正になされ得ないなら、義務倫理は有効に作用しない。
 ここから考えて、義務倫理が有効なのは適用される集団がごく小規模であり、その中ではその大多数が義務を遵守している場合に限られるのではないかと考えられる。
 定言命法的な義務倫理の活用:では全く役に立たないのかというと、そうではない。義務倫理は「善」とか「悪」を決定づける条件であると考えられる。これらの根本問題に関しては義務倫理を適用した方が良い…何故ならば、我々は最早そのような文化から逃れられないからである。文化は価値判断を含み、この価値判断は共同体維持を主目的とする道徳によって形成される。その道徳の内、共同体間の定項となりうるものはそのまま義務倫理であろうからである。

義務倫理といのちの倫理:選択権を中心においている。臓器を取り出すのは選択か否か。

全ての行動に責任を持つこと