固定指示詞と偶然指示詞

 「諸可能世界にまたがる同一性」を表現する言葉を指定するため、あらゆる可能世界で同じ対象を指示する術語を固定指示詞(rigid designator)、それ以外を偶然指示詞(accidental designator)と名づける。対象がすべての可能世界にある必要はないが、必然的存在者を指す固定指示詞は強い意味で固定的だと言える。
直観的に、名前は固定指示詞であろう。性質Bを持つのが個体Aでなく個体Bであることはあり得るが、個体Aは個体Aでなかったかもしれないというのは(Aと名づけられなかったことはあるかもしれないが)実情に反する論だろう。